メッセージ

どうして訪問看護の道を選ばれたんですか?
 最初は病院の救急病棟で働いていたんですけど、あるとき看護学生さんを訪問看護ステーションに連れて行く機会があったんです。そのとき、訪問看護師さんが利用者さんのご自宅に行って、体調を五感で感じ取りながらケアしている姿を見て、「これこそ看護師だな」とすごく感動したんです。病院だとどうしてもモニターや数値で患者さんの状態を見ることが多いんですけど、在宅では自分の感覚や経験をフルに使って、その人らしさを大事にしながら関わることができる。そういう看護に魅力を感じて、訪問看護の道に進みました。
人生会議はどうして大切なんでしょうか?
 事前に自分の思いを伝えておくことで、本人もご家族も納得できる最期を迎えられると感じた経験があります。
 以前、50代の女性で肺がん末期の方を担当したことがありました。その方は、ご自身の治療の希望や、障がいがある旦那さんへの思いをしっかり言葉にして、ノートにまとめておられたんです。「自分が亡くなった後は、こうしてほしい」「夫のサポートはこうしてほしい」と、訪問のたびに話し合いながら整理していきました。クリスマスの時期にはご本人の希望でカップケーキを作って、お世話になったみなさんに配って、お礼を伝えることができました。
人生会議はどんなタイミングでするのがいいのでしょうか?
 人生会議のタイミングって難しいんですけど、できれば元気なうちから少しずつ考えたり、家族と話したりしておくのが理想だと思います。いざというときは、意思疎通が難しくなったり、なかなか自分の気持ちを伝えられなくなることも多いので、普段の何気ない会話の中で「こういうときはどうしたいかな」とか、「自分はこういうのが好きだな」とか、さりげなく伝えておくのも大事です。
 私は個人の活動として、地域の図書館で「人のさいご展」という展示をやっています。訪問看護の現場で出会った方々の言葉や日常を紹介したり、「最期に聴きたい曲は?」など自分の最期について考えるきっかけになるような問いかけをして、来場者に思いを書き込んでもらったりしています。「人の死は悲しいだけでなく、学びや気づきもあった」といった感想が寄せられたこともありました。こういう活動を通じて、死や老いについて自分ごととして考えてもらえる機会を増やしたいと思っています。
県民のみなさんへのメッセージをお願いします。
 訪問看護をしていると、当たり前のことですが、「人はいつか亡くなる」ということを実感します。毎日が続くように思えても、必ず最期のときがやってきます。だからこそ、自分が大事にしたいことや、心地よい時間を、ぜひ意識してみてください。そして、できればご家族や大切な人と、そういう思いを少しずつでも話してみてほしいです。
 誰もが人生の様々な局面で悩み、考え、自分らしい選択をしながら日々を積み重ねてこられていると思います。訪問看護の中で、そんな大切な人生の話を聞かせて頂くことが多いので、その延長線上にある最期の日々もまた、その人らしいものであり続けてほしいと、強く思います。訪問看護師として、それを支えたいです。
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